クモ+ジブリとしての「ルーグナ城の秘密」

lazyさんがジブリ的イキモノとしてのハエトリグモへの愛を語っていらっしゃるのを読んで、クモが登場する印象深い作品を思い出した。

f:id:yukioino:20070826171327j:image

ピアズ・アンソニーのファンタジー『ルーグナ城の秘密 Castle Roogna』(早川FT文庫asin:4150200599)である。

「ザンスXanth」とよばれるシリーズものの三作目なので、前二つを読むと登場人物や世界観などがわかりやすいけれど、話そのものは完全に独立している。

この巻の主人公は、ザンス王の息子ドオア。この国では誰もが独自の魔法の力を持っていて、たとえばドオアには、生命のないものと会話する能力が備わっている。12歳の彼は、父王の命を果たすために、八百年前のザンスへと旅立つことになるのだが―――。

どんなふうにクモがかかわってくるかは読んでのお楽しみ。ジブリで丁寧にアニメ化したらどんなに楽しいだろうと思える、バランスの取れた少年成長譚である。

しかしこれ、ずいぶん昔に出た文庫なので図書館で探したほうがいいかも…。画像を撮るために本棚を探した(というか掘った)ついでにティプトリー・Jrの『たったひとつの冴えたやりかた』も見つけてきた。この本の冒頭に、ちらりと『輝くもの天より墜ち』が引用されていると聞いたのだ。ほんとだ。ばっちり載っている。それにしても、最近出たSFにしては昔ながらの流麗な邦訳タイトルになっている*1と思ったら、浅倉さんが二十年前にもう訳を決めてたのか…。

*1:実はそれが買った理由の半分を占める。年寄りSF読みの萌えポイントなんてそんなもんだ。