妖怪変化 京極堂トリビュート

妖怪変化 京極堂トリビュート

妖怪変化 京極堂トリビュート

アタマがとんでもないことになっている息子を髪切り屋に出して、寄った本屋で見つけた。出ているのは知っていたが、買うつもりはなかった。だが、さっきあんなことを考えたばかりで、置いて帰れるわけがない。プロ作家による妖怪小説シリーズの二次創作が読めるならいいかなと思って執筆陣を確認したら、牧野修氏に柳家喬太郎師匠が名を連ねていらっさるではないか…。柳家師匠の夢枕版陰陽師落語『鬼背参り』を思い出したらもういけない。レジへ一直線に走った。

あのシリーズの二次創作で、自分好みの、いわゆる腐女子向けではない正統派パスティーシュに近いもの(脳内定義は「登場人物が恋愛関係に陥っておらず、文体がきちんと整っており何らかの謎解きに類するものを含む模倣作品」)をネットで見付けるのは骨なので、手間が省けて嬉しい(笑)

というわけで勉強する息子の横で読了。ああ、なつかしかった。ごく私的な感想を以下に。たたむ。

ベスト3は牧野修『朦朧記録』、柳家喬太郎『粗忽の死神』、諸星大二郎百鬼夜行イン』。あさの女史の『鬼娘』は京極同人読みにはかなりぬるくて残念。もっとダークでキレがある京極二次(くりかえすが原作準拠設定)を書くひとを複数知っているので、どうしてもくらべてしまっていけない。西尾氏の書いたものを読むのは今回初めてだがこちらはいかにもな構成で○。映画版『魍魎…』の監督を務めた原田氏の『「魍魎の匣」変化抄。』は映画を見たあとにもう一度読んでみたい。そして、この年になって、高校生の頃に愛読した松苗あけみ女史が描く古本屋と探偵が拝めるとは思わなかった。長生きはするもんだw