ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

ジェネラル・ルージュの凱旋

二作目『ナイチンゲールの沈黙』の裏でICUのスキャンダルが発覚する。渦中の救急救命センター部長・速水と彼をなんとか救いたいと念じる田口を、院内倫理委員会の責任者・沼田は冷厳に追い詰めていく。

採算が取れない部署をどうにかしなければ組織は生き残れない。そんな論理からはもっとも遠い救急救命センターでさえも、病院改革の矛先から逃れることはできない。理想と現実のはざまで軋む現場の苦衷に胸が詰まった。

以下ややネタバレなので隠す。シリーズ読了の方のみどうぞ。

おそらくこの数年後に、救急センター、そして病院全体を見舞う兇運については、『医学のたまご』のなかで、すっかり成長した佐々木君によってさらりと触れられている。そちらを先に読んで知っていたので「将軍」速水が率いるICU近衛部隊の奮闘がなおさら切なく感じられた。海堂氏がこのまま東城大学病院を舞台にしたクロニクルを書き続けるのならば、そのあたりをいずれ物語として読む機会も巡ってくるだろう。だが田口については心配なさそうだ。神経内科の万年講師、窓際の仙人と呼ばれた彼が教授会に顔を出すようになるとは、一体どんなウルトラCがあるのやら。楽しみだ(笑)

次は佐藤氏の『天使』。図書館でやっと見つけた。それが終わったら『螺鈿迷宮』だろうか。ロシアミステリの続きも借りてあるし。