迷宮のイメージについて。

週末は先週の残業疲れを払拭する暇もなく家族サービスに走ったため、日曜のこの時間になって頭痛が酷くなってきた。

異形コレクション讀本』読了。

以下、自分の検索用備忘として引用。

「ここでヘルマン・ケルンを援用しながら、迷宮と迷路の現象形態をまとめてみよう。次のような特徴を備えているのが迷宮図形である。

(一)通路が交差しない

(二)どちらの道に行くかという選択肢がない

(三)常に振り子状に方向転換をする

(四)迷宮の内部空間をあますところなく通路が通っており、迷宮を歩く者は内部空間全体をあますところなく歩かなくてはならない

(五)迷宮を歩む者は中心のそばを繰りかえし通る

(六)通路は一本道であり、強制的に中心に通じている。したがって内部を歩く者が道に迷う可能性はない

(七)中心から外部へでる際、中心への通路を再び通っていくほかはない

これらの諸特徴を備えた空間が迷宮空間である。そして上記のメルクマールをすべて否定すると迷路を手に入れることができる。つまり迷宮と迷路は、きわめて鮮明な対立的原理の上に成立しているのである。」

(和泉雅人『迷宮学入門』講談社現代新書)より

「この前提にたてば、主にスカンジナビア沿岸地方に散見される置石による迷宮図、通称「トロイア城」の意味とも関連してくる。(中略)北ヨーロッパを中心に分布する平面的な置石迷宮のことで、主に海岸部に設置されていることから、大漁を願う豊穣儀礼との関係が指摘されている。「トロイア城」のなかの通路は人が通れるようになっており、求婚の儀式(「処女の舞踏」)などがおこなわれたと伝えられている。つまり、求められる乙女を「トロイア城」迷宮の中央に立たせ、求婚する若者が一種の舞踏的所作をおこないながら迷宮形象をつくっている置石を踏まずに乙女に接近し、中央部に到達すると乙女を抱きかかえ、そのまま置石を踏むことなく再び舞踏的所作をおこないながら迷宮をでてくることができれば、乙女との結婚が共同体から認められるという遊技的儀礼であった。」(同書より)