厭魅の如き憑くもの

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

黒と白の因習に縛られた山奥の村。息をひそめるように棲む人々に憑くあやかしを祓うのはカカシ様に仕える代々の巫女の役目だ。しかし今、その周囲に次々と屍が…。民俗伝承と新本格の血を継ぐ異端のホラーミステリである。

悪くはない。わるくはないんだが、憑き物系薀蓄構築とミステリ解釈に新味はなかった。憑き物ネタの落としどころは、やっぱりそこしかないかなあ、という気分で本を閉じた。*1もうひとつ、これは時間が無い人間が字面をかすめるように急いで読んで楽しめる作品ではない。そうだな、気の滅入る雨がふりつづく真っ暗な晩に布団の中で読んだほうがいいだろう。気が弱いひとは後ろが振り返れなくなるかもしれない。舞台装置は丁寧によく造りこんであるので、お化け屋敷のおどろおどろした雰囲気が楽しみたいひとにお勧め。

*1:なぜ「やっぱり」かはネタを割るので伏せるが、たぶんご想像通り。憑き物落としといえば…である。