ハンニバル・ライジング

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

帰宅後、さくっと読了。

なんかすごく二次創作っぽい書き方だと思った。キャラ萌えを思わせる熱意と精密さでこれまでのいわば「表舞台」では描かれなかった部分を継ぎ足して、隙間を埋めようとしているというか。商業作品へのオマージュとして生成される二次創作とは、つまるところ、ファンが尊崇するキャラの祭壇に捧げる供物である。ハリスは本当にレクター博士の第一の使徒になってしまったようだ。

美しい叔母の出自とその文化的背景に関する言及で、彼は何を云いたかったのだろう。読んでいる途中でちらっとバルテュス夫人のことを考えた。モデルのひとりであるのは確かだ。柔和な表情に着物が似合う彼女の本は、本屋で何度か手に取ったことがあるが、買うまでにはいたらなかった。今度読んでみよう。