誤解されがちな。

昼休みに見に行ったGIGAZINEで下記の記事を見かけた。

AppleiPodのクリックホイール付きキーボードの特許を出願」

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070413_clickwheel_patent/

よく売れて広く知られている製品の特許を眺めるのは、からくりを覗く楽しみがある。さっそく元記事を読みにいった。

On April 12, the US Patent & Trademark Office published Apple’s continuation patent application titled Method and Apparatus for Accelerated Scrolling.

published なのに、なんで「出願」なんだろう。そう思って、GIGAZINEの紹介記事に戻ったら、ちゃんとその方面の専門の方の訂正が上記にトラバされていた。めでたしめでたし。

実際は、特許の「継続出願を公開」という意味になる。出願はapply。

って、いまから特許出願するわけがないって…orz 

一般認識として特許庁にネタを出す=特許取得! みたいに思っているひとが多そうだが、そうではない。だから世の中にあんなにたくさん「特許出願中」と表示された製品が出ているのだ。しかも、上記ブログの方がおっしゃるように出さなければ何も始まらないが、出しただけではそのままで終わってしまう。非業界系のひとと話すと弁理士は「便利士? なにそれ?」と脳内変換されているふしもあるし…。

ちなみに本物の明細書はこちら。

http://appft1.uspto.gov/netacgi/nph-Parser?Sect1=PTO2&Sect2=HITOFF&p=1&u=%2Fnetahtml%2FPTO%2Fsearch-bool.html&r=1&f=G&l=50&co1=AND&d=PG01&s1=%22Accelerated+Scrolling%22&OS=

The present invention relates generally to a computing device and, more particularly, to a handheld computing device having a rotational input unit. との由。あのくるくる部分をそう呼ぶのか。

Appleがやった継続出願を調べてみた。

continuation application

継続出願(CA)(§120)。継続出願(CA)は、最終拒絶通知によって新規争点(new issue)に関する補正が許されない時に、明細書中に記載した範囲内で、new issueに係る発明内容を親出願の出願日にて出願できるものである。

継続出願の要件は、1.原出願が審査に継続していること、2.原出願と同じ明細書内容であること、3.発明者が同一であること。

http://www.funatsu.co.jp/dictionary.cgi?initial=c

要は、拒絶で切っても切っても生えてくるヒドラの首みたいな出願方法、ってことか? 自分がやってたのは出願までなので中間のことはよくわからない。tさんに訊くか。

トンデモ系の特許についてはここがステキ。

http://b-files.hp.infoseek.co.jp/

元翻訳/事務屋としては、「A-Files」が身につまされる。というか、泣ける。ちゃんと出願前にチェックしないからそんなことに…。