ヨルムンガンド

ヨルムンガンド 1 (サンデーGXコミックス)

ヨルムンガンド 1 (サンデーGXコミックス)

先日二巻が出たのを機にまとめ買いした。

若い女武器商人ココ・ヘクマティアルと彼女の私兵のひとりとなった元少年兵ヨナの話。商品が商品だけにセールス先は当然のように本物の戦場だったり、ヒットマンに狙われていたりして、物語には終始ドンパチが絡んできなくさい。wikiの軍需産業の項によると「2006年度は地球全体で9000億ドル以上が軍需産業に使用され、世界のあらゆる工業国では国内の軍需産業界が発達している。」らしい。9000億ドルって。「世界平和のために武器を売っている」と豪語するココの商売、ほんとに儲かるらしい。二巻の最後では、アフリカでは華人の商人に気をつけろという台詞が出てきた。先日起きたエチオピアで起きた中国系油田襲撃のニュースなど、裏にはどんな論理と武器ルートがあるのかと考えてしまう。

だが現実はもっと苛烈で、もっと笑劇に近いだろう。どこかの誰かがつける帳簿上でゼロが増えたり減ったりするたびに誰かが誰かを殺し、消えない血と恨みの軌跡が残る。武器を持つ相手には武器で対抗するしかない。戦わなければ殺される。消されてしまう。最初からいなかったかのように。

この漫画は、そういう黒い世界を覗く蟻の穴だ。