英会話ヒトリゴト学習法

英会話ヒトリゴト学習法

買った翌日には読み終えて、その日から本書の示唆をベースに実践を始めていた。というのも、著者の主張は、自分がこれまでに英語学習時に感じていたことと矛盾がなくて、とても受け入れやすかったからだ。

先日書いた「一言語一人格」仮説をもとにしたアルターエゴの話も面白かったのだが、もっとも深く肯いたのは「英語学習は内発的なモチベーションがなければ続かない」という主張だ。

内的に切実な動機が存在しなければ、どんな技術も上達しない。

ちょっと大声ではいえない話だが、「ママはどうしてそんなにケータイでメール打つのが速いの」と子供によく呆れられる。「僕は三行打つのがやっとで、それもすごく遅いのにさ」と。通信文の生成が速いのは、思考をそのまま乗せる形でメールを打っているからだ。云いたいことがなければ、扱いにくい小さなキーを猛スピードで押すことなどないし、その動作に習熟することもない。何年もやっていればそのうち、よそ見をしながらでも指が勝手に動くようになる。しかし、もらったメールを読んでいるだけでは、いつまでたっても打てるようにはならない。

英語も同じなのだ。聴くだけの受身のままでは、喋れない。あるいは、聴けても何も話せない壁の花になってしまう。英会話学校の講師の前で人形のように座っていても、時間の無駄だ。だから、自分にとって語学学校は手段として機能しないのだと気づいた。そう悟ってからはその類の学校には行っていない。*1

本書に書かれている効果的だが難しくない方法で、語彙を増やして、英語による思考演習を続けながらヒトリゴト練習をつづけていけば、思考と同じスピードでメールを打つときと同様、必ず脳と口が連動する日がくるにちがいない。中級以上の英語学習者で、読み書きにはあんまり苦労しないけれど、どうしても最初の一言が横文字にならない…と苦しんでいるひとには、ぜひお勧めしたい啓蒙書である。

自分の思いを乗せるのにふさわしい語彙と表現を探して、すこしずつ英語をつまみ、咀嚼していく。心に灯る「知る楽しみ」というともしびをかざして、この長い道を進んでいこうと思っている。

おしまいに、最終章の「英語の夢」について。自分の場合、旅行など周りが英語しか話さない状況になるとわりとすぐに見るのがわかっているので睡眠学習はしなくて良いかも(笑)

*1:いま歩いているときに学習の一助として聴いているのは、NHK語学講座『徹底トレーニング英会話』CD。テキストは自宅で見ている。思いつく言葉と表現を、日本語を介さず英語変換する行為に慣れるためだ。英英辞典は持ち込めない職場なので、http://dictionary.reference.com/をチラ見している。