汝塵なれば塵に還るべし。

昨日は霙まじりの雪になった。今日は薄日が射している。天気の変わりやすさは春が近づいているしるしだ。関東では冬の間ずっと乾ききった晴天が続く。曇天と雨が多くなってくると、まず緑が元気になり、そして虫が登場する。外歩きが楽しいシーズンももうすぐだ。

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日本の市場では一括してクリスマスローズと呼ばれてはいるものの、2月~4月にかけて咲くものはレンテン・ローズ lenten Roseと呼ばれる種類のようだ。キリスト教の暦でいう主の復活祭を待つ四旬節 lent の頃に咲くからその名がついている。

四旬節のはじまりの日である「灰の水曜日」は、今年はつい先日の25日だったらしい。信徒のひとびとは教会を訪れて、塵から象られた我が身を振り返るべく、神父の指で額に聖灰を十字の形にすりこんでもらうという。こちらではとんと見かけないが、外国では、その日には善男善女が普通におでこに灰をくっつけて街を歩いているそうだ。

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むかし通っていたカトリック系の学校では、「灰の水曜日」には修道女である校長先生の講話以外、これといって何もなかったが*1 復活祭直前の金曜日である「聖金曜日」には給食のメニューが魚になった。意識はしていなかったけれど、それなりにカトリック暦にのっとった生活だった。

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去年引き取ってきたイングリッシュ・ローズの苗木にも、新しい葉がついた。

枯れたように見えた木々の枝がまた芽を吹く。蕾がふくらんで朗らかに花が開く。時は巡り、春は必ずやって来る。人間の思惑や働きかけとはまったく別次元で動く自然の変化には、毎年の事ながら、心なぐさめられる。

*1:自分は信徒ではないので。日曜には教会に通っていた信徒の友人たちに聞くと、たぶん何か違うことを記憶しているだろう。