さよなら、女王様。

薔薇の葉陰につくられたキボシアシナガの巣は少しずつ大きくなってきていた。

f:id:yukioino:20090619230435j:image

これは6/2の画像。愉快な模様のついたちびたちがみっちりと詰まっていた。

このあと、巣にはまりこんだまま大きくなったコドモたちは次々と蛹になった。キボシアシナガの特徴であるカレー粉色の蓋をかぶった巣房が増えていた。もうすぐ最初のワーカー(働き蜂)が羽化して、女王はひと月半にわたる孤独な労働から解放されるはずだった。

女王は、午前中はたいてい餌を捕りにいっていて不在だ。

彼女がいない間に巣をひっくり返して中を覗くのが最近の習慣だった。

今朝も、巣の上に休む女王の姿はなかった。

f:id:yukioino:20090619230431j:image

ひっくり返した巣の中には、幼虫が一匹もいなかった。

f:id:yukioino:20090619230433j:image

よく見ると、いちばん大きな巣房の横が大きく破かれて、中が空になっているのがわかる。羽化するときは内側から蓋を破るから、羽化していなくなったのではない。

アシナガの蛹と幼虫を狙う、スズメバチの襲撃を受けたのだと気づいた。

f:id:yukioino:20090619230432j:image

孵化していない卵が見える。他の巣房の中には蛹も残っているようだ。

しかし、女王は夜になっても帰ってこなかった。

襲撃がいつ行われたのかはわからない。昨日は普通に巣にとりついて守っているのを遠くから見たから、今朝の早い時間だったのかもしれない。<蜂の行動時間はたいてい午前中

女王が無事なら、襲われた巣を見限って飛んでいったのなら、いいのだが。

駆除しようかどうかと迷っていたくせに、無惨な巣の有様を見ると心が痛む。人間の感傷など勝手なものだ。