棚ぼた。

先日のこと。帰宅すると、親戚から自分宛てに平たい宅配荷物が届いていた。身内の中であちこちたらいまわしになっていると噂になっていた衣料品がとうとう流れついたらしい。

買った本人はなんか小さいといい、続く何人かはもらってみたが諸般の事情でやっぱり着られないといい、そんな話を遠くで面白く聞いていた自分のところが最終投棄先に選ばれたのだ。と、これも伝聞なのだが。

何かの呪いでもかかってるんかいなといぶかりながら取り出した現物は、すばらしく柔らかい灰茶色の毛皮のベストだった。裏地が伸びない生地なのでやや着にくくはあるが、サイズは申し分ない。綿毛と刺毛の長さが揃った表面を撫でれば指先がしっとり沈む、申し訳ないような上物である。さっそく胴元(違)に電話して礼を述べた。

さて、何の毛皮なのだろう。タグを確かめると聞いたことがない名前がついていた。はて。哺乳類は比較的種類も少ないはずなのにこの年になって知らない名に出くわすとは。

さっそく検索してみると毛皮用ウサギの品種名だった。毛色や毛質によってさまざまな名がついているとか。貂がアーミンだったりセーブルだったりするようなもんだろう。

以前やはりネットで見た海外の愛護団体のえげつない「Here's the rest of your fur」のポスター(検索するときはグロ注意)が脳裏にちらついたが、中身は成仏して久しいはずなので大切に着て供養とすることにした。