The Last Olympian

Percy Jackson and the Olympians, Book Five: The Last Olympian (Percy Jackson & the Olympians)

あっというまに全五巻読了。この巻では、あと100ページというところで昼休みが終わってしまって、先が読みたくて午後いっぱいイライラしながら働いた。そういう本はひさしぶりだ。

ギリシャ神話における人間、いや、神様とその親類関係はもともと「渡る世間は鬼ばかり」的な大家族ゴタゴタを含んでかなりなまぐさい。そのあたりが現代アメリカの破綻しがちな結婚生活事情(離婚/再婚/子供の養育/ネグレクトその他含む)ときれいに重なって無理がなかった(笑

ミステリ作家である作者は丁寧な筆致で謎と伏線を張り巡らせている。物語のプロットを立てるときには、本筋となる事件の過去にもうひとつ長編が書けるような大事件を伏線/前提として設定するとよいというが、このシリーズもその方法を採用している。しかし登場人物の多くが本筋の段階でもまだローティーンからミドルティーンであるため、五冊を通してすこしずつ描写されていくこの話の過去、つまり「前提」となる幼い約束は痛々しい。

神の子であっても、運命がすでに定められていても、最終的に道を選ぶのは本人であって親ではない。当然のことであるが、あれこれ煩く口出しをせずに監督者としての立場を守るのは神であっても難しい。ちょうど主人公たちと同じような年頃の息子を持つ身としては、気楽な児童向けファンタジーから得られる楽しみ以上の何かをもらった気がする。結構なお手前でした。