ロシア人しか知らない本当のロシア
- 作者: 井本沙織
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2008/11/01
- メディア: 新書
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ロシアから日本に帰化した経済アナリストである著者の現代ロシア社会の説明はとてもわかりやすい。社会主義時代のツケである公務員の腐敗、物価高とめちゃくちゃな金利、税金不払いの常習化や石油一辺倒の経済計画などに苦しむ現代ロシアの状況と、著者が来し方を語るときに顔を出すソ連時代への淡いノスタルジーが、好対照を成している。
つい先月、「ロシアでは年明けから二週間は仕事がはじまらない」とモスクワ在住のひとのブログで読んだのだが、その理由がこの本のおかげで理解できた。
まず、ソ連時代からの1/1~3の正月休みに、ロシアになってから4日と5日が加わった。その後、ユリウス暦に則ったロシア正教のクリスマス休日の1/7が加わって、これで年明けから一週間はオヤスミとなるらしい。そしてそのあとの一週間は、年明けから飲みすぎた酒を抜きながらすごすとかなんとか。いいなあ、のんびりしていて。
さらに日本でいう「初夢」のような感じで、夢に運命の恋人が現われるのが1/13の晩。明けて旧暦正月の1/14は女子の間でどんな男性が夢に現われたかで大騒ぎになるようだ。
ちなみにロシア人の平均寿命(2005年)は、男性58.98歳、女性72.40歳。還暦を迎えるのが難しいというのは、長寿が当たり前になっている日本(ロシア男性とくらべて、日本人男性は20年も長生きする)ではなかなか実感できない。
言葉は、ひとびとの想いであり、社会を映す鏡、時代の空気である。歴史、風土、経済、社会、地理と、なるべくいろいろな方面から知識を仕入れて、言葉を理解する助けとしたい。