鉄コン筋クリート

松本大洋氏の漫画原作とは聞いていたが内容については何も知らないまま、息子と観にいってきた。*1

黒と白、絡み合い相克しあいながらも互いを補完する色の名前をもつ孤児ふたりと、彼らが住み、愛し、守ろうとする街の話だった。それぞれの街にそなわる「魂」について書いていたのは、吉川良太郎氏だったか。隙間恐怖症的な満艦飾に彩られた宝町に、土地の神、ゲニウス・ロキが宿っているとしたら女神だろう。可愛がっている孫以外、誰の言葉にも耳を貸さない老婆神、若かりし頃の婀娜っぽさを残した眼差しの美しい魔女。

ヤクザの鈴木役を演じた田中泯氏の掠れた喋りかたが魅力的だった。クロは今をときめく二宮和也、シロは蒼井優嬢が好演。『パプリカ』と見比べてみたかったけれど、映画に行く暇はそうつくれない…。

*1:松本氏の作品でやはり映画化された『ピンポン』をレンタルビデオ屋で借りると言い張った息子は、たいそうあの映画が気に入り、その後、小学校で卓球部に入った。そんなもんなんだろうか。