インテリジェンス 武器なき戦争

通勤時間が短いと活字関係が滞る。眠気と倦怠に頭をやられていないときは、手嶋氏×佐藤氏『インテリジェンス 武器なき戦争』(幻冬舎新書)をちまちま読んでいる。

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

薄い新書なのに終わらなくて、おかげで後続がものすごいいきおいでつかえているが、内容はたいへん面白い。

タイトルのインテリジェンスとは、知性ではなく、各国の外交/諜報機関と彼等が繰り広げる見えざる戦を示す。中学時代に読みあさったフレデリック・フォーサイスの謀略小説の現実版だ。

あの頃はまだ鉄のカーテンがしっかり降りていて、世界は東と西のどちらかに所属していたから(相撲か)わかりやすかった。冷戦終結後のいまは、世界中がものすごいことになっていて、受験生は大変だろう。このまえ息子の時事問題勉強につきあって、EUについてWikiで調べたら、こっちからは全部一緒くたの西欧の内部事情が透けて見えて面白かった。今年になって加盟したのはルーマニアブルガリア。トルコは、かわいそうだが、たぶんどうやっても仲間に入れてもらえないだろう。フランスにあんなに睨まれてたらダメだ。ノルウェー国民投票で加盟否決。サミシス。国境が周囲とぴたりと接している国では、外交の失敗はそのまま亡国の危機だ。外交と諜報戦はコインの裏表の関係になる。島国が外交下手になるのは、まあ当然かもしれないが、手嶋氏と佐藤氏によると本邦の外務関係も、ものすごくたまーにクリーンヒットを飛ばしているらしい。百戦錬磨の島国イギリスを見習ってがんばってほしい。

諜報戦において、秘密の情報源からの特ダネというやつはほんとに一握りで、内閣情報調査室でさえ新聞やテレビなど「一般的」なソースから地道に情報収集していると前に聞いたことがある(日経新聞のコラムに調査室の人が書いていた)。テレビのニュースを観ながら、報道内容だけでなく、バイアスのかかりかたやブラフの可能性をいろいろ想像するのも楽しいだろう。

以上、携帯から書いてたら本は読めなかった。また明日だな…。