のろくてアタマの中にひきこもりがちなところは蝸牛に似ている。

学習進度は遅いがとても楽しい。頭の中で例文を簡単な英語に置き換えてみたり、別の言葉の単語と対比させてみたりしていると飽きない。辞書を流し見て、アスタリスクがついた重要単語などを拾うのもいとをかし。目に付いた単語を書き取ったりしているうちに、小学六年のときに、コンサイスか何かの簡単な英和辞典のAからZまで順にめくって、生物に関する英単語だけ拾い出して表にして遊んだのを思い出した。いちばん最初の言葉はacorn(どんぐり)で最後はもちろんzebra。語学オタクって一生治らないのか。

文法といっしょに単語をすこしでも覚えたいと思って、棚をあさっていたら「ロシア語基本単語2000」が出てきた。内容を読むと、まだソ連があったころに出た版らしい。

今日、昼にごはんを買いに行くついでに本屋に寄って、今売られている版を確認したら、ソ連についての記述がぜんぶ差し替えられていた。そりゃそうか。まあ、ピックアップされている単語は鮮度が命のスラングではないからかまわないけれど。

本屋に行けば手ぶらでは帰れない。買ってもすぐに読めないとわかっているのに本を入手。息子用の『One piece』最新巻はともかく、ひさしぶりにちくま文庫の棚の前に立ったのがいけなかった。久世光彦氏の『美の死』とグロスマン『戦争における「人殺し」の心理学』を持ってレジへ。

なぜ読みたくなったのかよくわからなかったが、席に戻って、やっと思い出した。

今日は久世氏の命日だ。

亡くなったとき、すごくがっかりしたので、無意識が働いたのだろうか。

桃の節句をひかえて、万物がゆっくりと温まり、ほどけていく悩ましい季節に彼は逝ってしまった。

ああいう、甘い微醺と苦味をともに含んでほの暗い文章を書くひとはもう出ないだろう。陰影深い昭和はどんどん遠くなっていく。


美の死―ぼくの感傷的読書 (ちくま文庫)

美の死―ぼくの感傷的読書 (ちくま文庫)

ONE PIECE 45 (ジャンプコミックス)

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One Piece』では、ひさしぶりに冒険後の海賊団のくつろいだ姿を拝めて嬉しかった。そしてサンジ…。指名手配おめでとう。笑いすぎて腹が痛い。