彫られた魚。

平山夢明『SINKER』読了。深沢七郎『妖木犬山椒』(中公文庫)も半分まで。

深沢作品を読むのは初めて。彼が書いたものがもとで起きた嶋中事件のことも知らなかった。天皇処刑を描いたというその作品が発表された当時の空気はどんなものだったのだろう。陰惨な本を続けざまに読んでちょっと疲れた。何かほっとするようなものが読みたいな。積読本を漁ってみよう。

鋼の錬金術師』16巻も読了。『皇国の守護者』のような戦場の極限状態を読んでからイシュヴァール戦を想像すると、マスタング大佐やホークアイ中尉、ノックス医師の述懐が重たく感じられる。

id:COCOさんのところで紹介されていたフィッシュカービングの工房のサイトにいってみた。木から丸彫りして彩色した作品はまさに芸術。クオリティの高さに恐れ入った。バードカービングについてはNHKの趣味講座で取り上げられたり、博物館で鳥の剥製の代わりに展示されるようになったりして、だんだん見る機会が増えてきたが、魚でもこんな彫り手がいるのか。芸大附属美術館で見た自在置物*1や、本物と区別の付かない安藤緑山*2象牙彫りの果実にも通じるものがある。*3

*1:江戸時代の甲冑師・明珍(みょうちん)が作り出した可動性の金属細工。

*2:作品に『染象牙果菜置物』『貝尽くし』など

*3:これは蛇足だが、サイトの説明に添えられた英語がツラかった。英語と対訳があるとつい校正しつつ読んでしまうのは悲しい職業病である。「よくある質問」なら「FAQ」とするだけでもわかりやすくなる。正確な情報を読みやすくきちんとした形で提供するのも作品PRには有効な手段だ。ネットは全世界に開かれているし、海外フィッシュカービング大会のチャンピオンのHPとして英語圏からのお客さんも多いだろうに、もったいない。