「朝日ソノラマ、9月で店仕舞い」の件

朝日ソノラマがなくなってしまうのは寂しい。かならず懐古話になってしまうから書かずにおこうと思ったけれど、やっぱり寂しくて、こっそり嘆息。

サンリオSF文庫の廃刊のときは難しそうなSFばっかり出してるし、売れてなさそうだからしかたがないか(ほんとにどうだったかは知らない。学生だったころの自分にはそう見えた)と思ったけれど、ソノラマはなあ。吸血鬼ハンターDにクラッシャー・ジョウ、ARIELに妖精作戦クトゥルー・オペラと、いま花盛りの少年系ジャンルをぜんぶ背負って立っているようなレーベルだった。次世代をはぐくむ役割は十二分に果たしたと思う。そのころ、友達と買った本の話をしているときに「朝日ソノラマみたいな」ストーリー、「コバルトみたいな」話という表現をすれば、ノリはよく理解できた。当時からコバルト文庫とともに一種の若い者向けの枠組みとして機能していたのだ。ああっ、特撮の季刊誌『宇宙船』もここだった。うわー。どんどん年寄りになっていく気分。

過去に読んだ作品の話をするときは、必ず読んでいたころの思い出がいっしょにくっついてくる。ボトムズが好きだった友達は『青の騎士』を、アクション伝奇が好きだった友達は『キマイラ吼 』シリーズを貸してくれた(九鬼麗一って名前としてはビミョーだね、とも云っていた)。

ソノラマ本ではないけれど、当時貸し借りをしていた仲間うちでは野田宇宙大元帥の『銀河乞食軍団』(ハヤカワ文庫)も人気だった。さいごまで読んでいないのがとても心残りだ。あれを愛読していた友人は、働かない部員(われわれだ)を脅しつけるときにはよく「テルミットまぶして火葬にするよ!」と怒っていたっけ。筋金入りのシャーロキアンでもある彼女は、いまは三人のちびさんたちの世話でてんてこまいだが、会えばすぐに昔の顔にもどるw 今度「乞食軍団」をまだ持っているかどうか訊いてみよう。