スズメの挨拶。

ゆうべは熱からくる悪夢を見続けた。面白かったけれど寝た気がしない。まだ完全に下がったわけではないし。

今朝新聞を取りに行ったら、茂みに隠したはずのお子さんがまた目立つところでむしゃむしゃしていた。君ってやつは…。表皮の感触がアゲハの子供よりもすこし硬くて、ぷりっと張っているので、だめなひとはだめだろうなあ。

またつまむとちびさんにストレスをかけたり悪い菌を移してしまいそうで、今日はもう放置。探すのが虫目*1 の人間でなければたぶん見つからないはず。食害されているツツジ丸坊主にはほど遠い繁茂ぶりなので、放置して大丈夫だろう。*2

去年のいまごろ、睡蓮鉢のスイレンについていたセスジスズメの子は、垣根に絡んでいた雑草のヤマイモに移してやった。セスジスズメがスイレンの葉を食べるなんて聞いたことがなかったのでびっくりした覚えがある。放してやったあとで下記のようなことがあったので、なおのこと印象に深い。

先日庭にリリースしたスズメの子の行方は、ずっと気になっていた。

何かの用で外に出たついでに庭に回って、放してやった草むらを探した。姿はない。食草が見つからなくて死んでしまったのだろうか。落胆しつつ視線をさまよわせていると、キンモクセイの根方、草がまばらなあたりをうろうろしているイキモノの影を見つけた。目を凝らすと、それは黒々として大きな狩人蜂だった。獲物を探しているのだろう。忙しげな足取りで草陰に消えていった。

いったんはその場を離れて、花の鉢の具合を見てから、諦めきれずにもう一度同じ場所に戻った。ふと見下ろすと、蜂が消えていった草むらでまた何か動いている。

さっきの蜂かと思ったがシルエットがもっともっさりと長い。芋虫だった。葉に見え隠れして種類はわからなかったが、人差し指くらいある身体を波打たせて地面を散歩している。蛹になる場所を物色中なのかもしれないと思って見ていると、芋虫はキンモクセイの幹を上りはじめた。あの大きさならもう終齢で、蛹になるために土中に入るのだろうと見当をつけていたから驚いて、ふだんは踏み込まないところに入り込んで、樹のそばに立った。

芋虫は、着実な歩みで、こちらの目線の高さまで上ってきた。間近で見て、びっくりした。サイズは六センチを超え、眼状紋も三対に増えていたが、尾角といい体色といい、それはまさにリリースしたあのちびだったのだ。

あの場所に立つのが一分前か、それとも一分後だったなら、芋虫には気づかなかっただろう。わざわざ食べもしないキンモクセイにのぼって、人間の目線まで上がってきたのも不思議だ。こんなに大きくなりました、と元気な姿を拝ませてくれたのだろうか。写真を撮ろうと思ってカメラを取ってきたら、もう姿を消していた。

これがほんとのスズメの恩返(ry

今日は月末恒例の早川書房の新刊広告日だったようだ。

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反対側の広告欄は幻冬舎のスペースで、森見氏の「毛深い五男」の宣伝が載っていた。SFマガジンも買いに行こうっと。

*1:虫を探すのに特化した眼の使い方。虫屋さんはもちろん虫スキーならばたいてい身につけている

*2:スカシバにたかられたクチナシはほんとうに丸坊主にされてしまう。