キナバル山 Mt.Kinabalu

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標高 4,095メートル。富士山よりも高い。

中国 kina の未亡人 balu という名前は、山頂に住んでいる龍の珠を手に入れるために、中国の王子が現地の娘と結婚したという伝説に拠るらしい。王子は、娘から山頂に至る路を聞き出し、珠を首尾よく手に入れて去ったため、残された娘を「中国の未亡人」と呼んだというもの。*1

山に暮らすひとたちはこの山を神と崇め、毎年七羽の白い鶏を生贄として捧げてきたそうだが、2000年に一帯がマレーシア国内で初のユネスコ自然遺産に認定されたときに、イスラム教を国教とする手前か、儀式の中止がオフィシャルに申し入れられた。しかし儀式が行われなかったその年は、山で事故が多発し、観光に来た英国の子供たちが行方不明になり凍死して見つかるなど、山の怒りとも取れる事件が続いたため、次の年からは儀式が復活したそうだ。

この話を聞かせてくれた山に住むRungus族出身のガイド嬢は、キリスト教徒だそうだが(山道を走っていても教会の看板をよく見る)、山の話について語る真剣さから見ると、土地の信仰とキリスト教徒としての信仰は彼女の中に調和して存在しているようだ。日本の山の話を聴いているようで面白かった。

撮ったのは朝九時半ごろ。昼過ぎると雲がかかってしまう。助手が長袖を着ているのはこれから森の中を歩くため。

*1:異説もいろいろ。上記の話も、たぶんひとつのパターン。http://en.wikipedia.org/wiki/Mount_Kinabaluの「Tales」参照