ハプニング The Happening(8/17:ネタ追記)

息子にどうしてもと拝み倒されて連れて行った。

なるほど規模は異なるが現実にありそうなネタで(似た様な事例はいくつもある)不気味だ。本国でお子様禁止映画になった原因とおぼしきゴアシーンはたしかにえぐかった。でも、起伏のない観察日記ぽい描写というか。

ええい、感想が書き難い。ヒロインである主人公の奥方がエビちゃんこと蛯原嬢にどことなく似ているのが気になった(何故

上映前にリメイク版『地球の静止する日』のトレイラーをやっていた。キアヌが使者なのか。ゴートもあの懐かしいデザインで出てくるらしい。

さて、次は『ダークナイト』だ!

8/17追記:

異変は、ニューヨークのセントラルパークで突然始まる。

症状は、発話の混乱、行動の異常、自殺行動。

銃を持っているものは自分を撃ち、高いところにいるものは躊躇いなく飛び降り、動物園の飼育係はライオンの檻に入る。異変の犠牲者はみな、目についたあらゆるもので自死を図る。

主人公の理科教師は、逃避行の途中で出会った育種苗業者の「異変の原因は植物が放出した物質だろう」という言葉と、見聞きした惨事の情報から推論を導き出した。

・植物は(異種同士でも)風に運ばれる化学物質を介してコミュニケーションできる。害虫に取り付かれた樹が他の樹に警報を送ると同時に、害虫を駆除する物質を放出することもある。今回は、直接の契機は不明のままだが、人間のみを排除する化学物質を放出しはじめたのかもしれない。

・この変異は大都市の公園から小さな町や郡に広まっていることから、人間の「数」が危険な化学物質放出のトリガーになっていると考えられる。実際に、人数の大きいグループは異変の餌食となり、少人数のグループにいた主人公たちは難を逃れた。

プランクトンが一時的に増加する赤潮と同様、ピーク後に急激に異変は終息を迎える。

化学物質(話中の科学者によって「神経毒素の一種」と説明される)放出の理由は不明のまま。

ややヒッチコック的結末で、アメリカにおける異変は終わる(笑)

昆虫の世界は、あまり知られていないが、熾烈な化学戦の世界でもある。彼らの触角は、物質の化学構造がキラルかそうでないかを判別し、使い分けができるという。かれらは恋歌も化学物質でつづるイキモノだから、それくらいは朝飯前なのだろう。絶望的に感覚が鈍い人間からすれば驚異の鋭敏さである。

実際にこういう研究をしているひとたちもいる。

植物は、これを食べる植食性昆虫(害虫)による被害を受けると、揮発性物質を誘導的に生産・放出し、このSOSシグナルによって誘引された捕食性昆虫(天敵)に害虫を排除してもらっているらしい、ということがこの数十年の間に多く示されてきた。アブラナ科植物では、害虫であるコナガによる被害を受けると、その寄生性天敵であるコナガサムライコマユバチが誘引され、コナガに産卵・寄生する。

植物揮発性物質を用いた害虫管理技術の開発

京都府中山間地における水菜栽培での試み~

Application of herbivore-induced plant volatiles for pest management

http://www.niaes.affrc.go.jp/rplan/library/seminar/info0707.html

映画では、昨年アメリカの多くの州でミツバチが忽然と消えた実際の事件を「人間には計り知れない自然の行動」のキーワードとしている。

大量の働き蜂が女王や子供の世話を放棄して姿を消すこの現象は、Colony Collapse Disorder (CCD)「蜂群崩壊症候群」と呼ばれている。詳しくは、National Geographicの去年の記事で読める。

Mystery Bee Disappearances Sweeping U.S.

http://news.nationalgeographic.com/news/2007/02/070223-bees.html

原因については、ダニが媒介するウイルスやら農薬やら、いろいろ云われているが結局のところは不明。

こういう事実を組み合わせてシャマラン氏は骨子を作り上げたのだろう。

ネットの噂によると、彼は今回、主人公の妻と「ティラミスを食べた人」の声で映画に出演しているらしい。ふーん、そうだったんだ…。