ユーロマンガ1

ユーロマンガ

ユーロマンガ

先日英語の集まりで知り合った方は、英語のみならずフランス語の翻訳もするそうで、自分が手がけた漫画がもうすぐ出版されますと嬉しそうに語っていた。それがこの『ユーロマンガ』である。

ヨーロッパのオールカラー漫画*1が四作、連載形式で載っている。なかには早川からすでに刊行されている『BLACKSAD』の続編も。*2

画面の彩りもタッチも日本の白黒漫画とはまったく違うが、日本アニメの影響を熱く語っている作家さんもいて、彼我の文化が不可分につながっている状況を再認識した。コマのひとつひとつが、一枚絵のように複雑で美しい。眺めて飽きないところは漫画というより画集に似ている。

総天然色の海外漫画を初めて手にしたのは、中学生のときだった。

米国赴任の親戚の家から帰るときに寄ったハワイの本屋で、BD雑誌『メタル・ユルラン Métal Hurlant』のアメリカ版『HEAVY METAL』を買おうとしたのだが、18禁だったらしく持っていったレジで咎められた。にもかかわらず、結局買えたのはどうしてだっけと記憶をひっくり返してみたところ、「そんな雑誌…」と眉をひそめる母をよそに、父がにこにこしながらあっさり財布を出したのだ。表紙を飾っていたのは女性が悩殺ポーズを決めているイラストで、厳しく止められてもしかたがなかったと思うのだが…ふだんあまりものを欲しがらない子どもの望みをかなえてくれたのだろうか。まだ英語もろくに読めないころで、つるつるしたオールカラーのページからは風変わりな匂いがした。あの雑誌は今もどこかにしまってあるはずだ。

追記:海外の18禁といってもそんなにすごくない。いまどきの日本の少年漫画雑誌のやりたいほうだいぶりに比べればかわいらしいものだ。フェティッシュぽくもない。とても「まっとう」だったと思う。

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド -黒猫の男-

ブラックサッド 凍える少女

ブラックサッド 凍える少女

*1:フランス語ではBD。バンド・デシネ、または略号でベーデーと呼ばれる。

*2:既刊の二冊をいずれ買おうと思っていたので、背中を押された感じ。