ハルキ文の書き方10ヶ条

友人I女史が雑誌を貸してくれた。

そのなかの特集が面白かったので、ここに抜粋する。

ハルキ文の書き方10ヶ条

1 まずは一人称の「僕」で書くこと。「僕」だからこそ、読み手は物語の世界に没入できる

2 そして「そんなことはどうでもいい」と投げやりな気持ちになろう

3 何が起こっても冷静を装う。絶対に驚いたり感動してはいけない。それでも驚いたり感動する描写がどうしても必要な場合は「やれやれ」と最後に加えておく

4 何かの程度を表現する時は、一瞬比喩になっているのかよくわからない言い回しを使う(略)

5 食べ物を描写する時はアメリカンなもの限定。決してカツ丼やちらし寿司は登場させてはいけない

6 カタカナの名前には「・」を多用する

7 唐突にヘンなものを登場させる(乳牛が「扇風機」と「やっとこ」を交換してくれないか、と頼むなど)

8 数字を多用する

9 孤独を愛し、友達と群れることはカッコ悪いと思い込む

10 突然太文字を使う。別に重要であろうとなかろうと時々使う


―――テレビブロス TVBros. 4.4-4.17号 p.11

「遠回しの美学 春だから春樹!~文系男子の頂点・村上春樹の世界~」

より引用

これを読んだあとではてなの有名まとめページ「爆発音がした」村上春樹版などを読むと面白い。誰が書いたのかは知らないが、よく出来ている。たとえば、こんな感じだ。

「完璧な爆発などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」

現在読んでいる『世界は村上春樹をどう読むか』のなかでも、作中で多用される「やれやれ」やカタカナ語などについては、さまざまな国の翻訳者から訳し方が難しいという意見が出ている。が、彼らに共通しているのは総じて、村上の作品を、とても楽しんで翻訳している点だ。

読みやすい語り口を用いて、世界の奥に内包されたものを語る彼の作品は世界数十ヶ国で翻訳・出版され、日本のイメージそのものまで変えつつあるらしい。この本を読んでいると、書かれた言葉がもつ力を思い知らされる。