庭で働く。

梅雨の晴れ間に朝七時から庭に出て、花を植え替えたり、萎れた花を摘んだり。

ペチュニアのちびっこい親戚である色とりどりのカリブラコア「ミリオンベル」は、次から次へと花が咲く。つねに綺麗にしておこうと思うと実に手間がかかる。花茎ごと萎れた花を鋏でちょんちょん摘んでいると、威嚇するような羽音をたててハナバチがやってくる。紫や黄色の花に顔を突っ込んでせわしく動き回るのをしばらく眺めて、飛び去るとまた作業。高速でキボシアシナガが飛んで行くのも見かけた。スズメバチから逃れた女王様は、どこかで巣を作り始めたろうか。

人間を追いかけて庭に出てきた猫が、花壇のすみのビオラの名残に隠れている何かを注視していた。そばに寄ってよく見ると、掌サイズのヒキガエルの子が葉のなかにちぢこまっていた。好奇心で眼をまん円くしている猫の大きな尻を押して、速やかにそこから追いやって、蛙の安全を確保。これは双方にとっての安全策である。前にいた猫はよく庭でのそのそしているヒキガエルをくわえようとして、その毒(ブフォトキシン)にやられたのか、泡を噴いていたからだ。

しばらくして、脅威が去ったのを知った蛙はビオラの中から這い出て、ツツジの陰に逃げ込んでいった。幸運を。

カメラの電池が切れているので、庭の写真は撮れなかった。あとで充電しなければ。

先日は、切った枯れ枝をゴミ袋に押し込んでいて、右手小指の付け根に棘を刺した。

早朝、寝ぼけながら作業していて、突然びりっと痛んだそのときは、何が起こったかわからなかった。庭の作業にかかせない二の腕まであるゴム手袋を外してみると、血の珠が盛り上がっていて、何かの鋭い棘が刺さったのだと気づいた。傷は細くて深かったのか、すぐにふさがって、あとからその周囲が腫れてきた。傷から入った嫌気性細菌が仕掛けた悪さだったらしい。やがて広い範囲の皮膚に紫色のまだらが浮いてきて、すこしあせったが、痛みも腫れも一日で引いてほっとした。

今朝の作業後、どろどろに汚れたゴム手袋を洗い、中も流しておこうと裏返したら、先日棘が刺さったと思われる箇所に血の痕が大きくにじんで染みているのに仰天した。こんなに出血するほど深い傷だったのに、あっというまに閉じてしまうとは。免疫が弱っている状態だったら、見えるか見えないかのサイズの怪我でも面倒なことになってしまうのだろう。健康はありがたい。

部屋に戻ると、ケータイに友人から連絡が来ているのに気づいた。先日送った翻訳原稿はOKが出て、客先に送られたらしい。特許業界文書は久々だったので、そう聞いてほっとした。

蒸し暑い中で立ったり座ったりしているとめまいがしてくる。

ソファにうずくまってまどろむ猫にならって、自分もすこし本でも読もう。

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