夜の沈黙のなかで。


カトリックのカレンダーでは、11月は死者の月だ。教会ではミサが行われ、亡くなったひとの名が呼ばれ、墓地では花をたむける姿が目立つ。

若くして逝ったひとびとのことを想うのは、この時期にかぎったことではないが、しんしんと冷えていく夜の底で生死の理を考えている。春から冬、また春へと季節が巡るように、かれらと再びまみえるすべがあったなら。運命が握る大鎌で刈り取られた命がまた芽吹く日が来るのなら。

砂時計は不可逆の時を刻み、喪われたものは返らない。誰よりも速く走り抜けたかれらの後をたどってよろよろと闇路を歩きながら、先駆者の冥福を祈るほかはない。