群衆リドル
- 作者: 古野まほろ
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/12/16
- メディア: 単行本
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孤立した雪の洋館<夢路邸>に集った9人の招待客を襲う、連続殺人の詭計。本格ミステリのあらゆるガジェットを駆使した、おそるべき傑作。
某所に跳梁跋扈する古野ファンの人々のつぶやきによると、講談社から場所を移して再起動の一冊だとか。論理と青春をつかさどるミステリの神に潔く魂を捧げた彼の作品がまた読めるのが、とても嬉しい。
以下、ネタを割るというか感想をたたむ。未読のひとは避けるべし。
以前の重量級のシリーズにくらべるとぐっと抑えた文体で読みやすさ優先、ミステリ的宝箱をひっくりかえしたような展開は古野入門篇にはぴったり。といいたいところなのだが……文体と一緒に、抑えるべきでないロジック部分まで弱気に薄めてしまったような気がしてならない。
いや、十分に美しいロジックなんだけれど、彼が本来放ってくるミステリ的ボディブローはこんなもんじゃないと信じている。次作を待ちたい。
蛇足。舞台は前シリーズと同じ世界なので、無論言及はある。しかも冒頭のエピグラム。Kahnって…あれか。流石だ(笑