SP 革命篇

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昨年秋公開の『野望篇』に続く最終話の後編。が、実際は公開される前の週にテレビ放映された『革命前日』もあわせて、三部作なのだそうだ。あれを観ていなかったら、どうして田中が瀕死の重傷を負っていたのかとか、尾形はいつのまにあんなラブレター(違)を書いてたんだとか、考えてしまったと思う。ちょうど台所に立っていて見逃しかけたのだが、子供に「おーい、はじまったよー」と呼ばれて、テレビの前に戻れたのはラッキーだった。

以下ネタバレ含む。というか長い。

ドラマ版最終回から『野望篇』にかけて、鋭く対峙した井上と尾形。前回の映画が井上からの問いかけだったのにたいして、今回は尾形からの回答篇である。表立って爆ぜることなく継続してきた緊迫感にけりをつける直接対決は、互いに銃を握りながらの接近戦という、ちょっと変わったアクションになっている。分は、もちろん先輩である尾形にあって、必死の形相で追ってくる井上の相手をしてやっているようにも見えたが。

尾形は、話中で何度も「東大法学部出身のノンキャリア」と揶揄されていたとおり、人を意味もなく殺すにはアタマがよすぎた。自分がやっていることが個人的な復讐だというのもわかっているし、そのかくれみのとして周囲を幻惑する「大義」などという言葉にこじつける狡猾さも持っている。しかし四係の部下たちに見せていた、任務を最優先する篤実なSPとしての姿は、決して嘘ではなかっただろう。だから、四係の全員が暴走する彼を「排除」するためではなく「止める」ために動いた。人生のどす黒いターニングポイントを共有したにもかかわらず、闇にきっぱりと背を向けた井上の存在が、最終的に彼の完全な破滅を食い止めたともいえる。

さいごのほう、倒れているエラいひとを放置して、尾形の銃創をネクタイで止血する井上に苦笑してしまった。

看守の台詞、あれはどういう意味だろう。井上が肌身離さず持っているらしい尾形のラブレター(だから違うってば)が開封されていないのは、いつかすべてを本人の口からじかに聞きたい、という彼の願いのあらわれなのだろうか。

ドラマ版からずっと追ってきたので、観終えて深く満足した。

次は公安の田中くんのスピンオフが観たいです。>金城さん