無謀だったかもしれない外出。

この日は息子の用事で出かける予定になっていた。

余震が危ぶまれているうちにまた遠くまで出かけて、本当に大丈夫なのかと迷いはしたものの、金曜晩の強行軍と、寝不足のまままったくのぐだぐだのうちに過ぎてしまった土曜日で、脳みそが変なふうにボタンを掛け違えた状態でフリーズしてしまって、ちゃんとものを考えられなくなっていたらしい。判断力にゆがみが生じているという自覚はほとんどなかったのだが、十分余裕を見て家を出ているのに、地図を見ながら道に迷って(ふだん迷うことはめったにない…)時間に遅れそうになったりと散々だった。

電車も、往来も、驚くほどひとが少なかった。

数時間かかる子供の用事が済むまでは、おとなしくそこらへんのカフェで仕事をしながら待っていようと、意識のいちばん上の層では思っていた。だが実際には、時間つぶしに最寄りのシネコンに行ってしまった。意識の底にたまったストレスの解消には必要なことだった。