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友人の日記のトップに掲載されている写真が替わっていた。つるっとした陶器製のソルト&ペッパーの器で、白いゴースト型の容器と黒いゴースト型の容器が互いに抱き合うようになっているものだ。

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Hug Salt And Pepper Shakers,2002

http://www.momaonlinestore.jp/search/item.asp?shopcd=11111&item=078-002-KT

写真を見たとたんに、なつかしさと悲しみが湧いた。

何年か前、同じものが、ある友人からある友人へと手渡されるのを見たことがあった。周りにいた皆がそれを見て「かわいい!」と声を上げた。つるつるしたプレゼントを掌に乗せて、目を細めて喜んでいた彼女はもういない。

突然襲った病のために、五月の萌える緑の盛りに遠いところに旅立ってしまった。

彼女とは趣味がとても近かったから、今も本を読んだり音楽を聴いたりするたびに、彼女を思い出さずにはいられない。

そのたびに思う。自分は彼女にとって「友人」に値する存在だったのだろうか。もっとできることはあったのではなかったか。

そして、いまいっしょにいるひとたちを大切にできているのか。

ふつうのことをふつうにすればいいのに、それがとてもむずかしく感じられることが多い。どうしてこうなんだろう、と思いながら年月ばかりが過ぎていく。

あの器は、いまもご実家のどこかにしまわれているのだろうか。オンラインでは買い物はしない主義だが、今度うちにもひとつ取り寄せてみよう。