新幹線の中の図書館。

秋田に向かう東北新幹線に乗った。車両内の図書館で、三冊ほど借りようとして手続きのためにカウンターに行ったら、前に借りた本の返却記録が無いとかでその場で延滞料金を取られそうになった。

壱万円も払うなんて冗談じゃないよ、と慌てて記憶をたどると、当該の本を返したときのカウンター担当がコリキ・長州(コスチュームはあのまんま)だったのを思い出した。コリキ氏は相当不慣れな手つきで端末を操作していたので、もしかしてあのときの処理がうまくいっていなかったのかもと思い、カウンターの女性にそう伝えて、今回は本を借りるのは諦めた。

その悶着のために、降りるはずだった駅をとっくに過ぎてしまっていて、帰れなくなってしまっていた。しかたなく車内に泊まることにしたが、次の日は早朝からヨットに乗りにいくはずだったのを失念していた。ヨットを所有している知人(実在)に電話を入れて事情を説明したら、うんと怒られた。

めそめそしながら、車両内の座敷に戻ると、怪奇な出し物が始まるところだった。自分以外はみな医者の観客に囲まれて、座敷の一画に張られた白幕からぬっと出てくる怪物の白い一本腕を鑑賞。そのうち幕を裂いて本体も登場し、座敷の中は大騒ぎになったが、全員承知の出し物なのでその騒ぎもお約束的なもの。にしても気持ちが悪かった。となりで転がって死んだふりをしていた女医は昔の同級生だった。

目が醒める間際に、ヨットに乗る約束などなかったのを思い出して、すごく安心した。