島尾隊長様。

夕刻、一息ついてネットを流し見ているときにあることに気づいて無言で取り乱した。もちろん顔には出さないままだが、視界がぶれて気が遠くなりそうだった。指先が冷たくなったのは、貧血直前だったのかもしれない。更新を休んだのは正解だった。

疲れと懸念を抱えたまま帰りの電車で『島尾敏雄』を読んだ。誰もが目を伏せてやりすごそうとする死の貌を、あばたがクレーターに見えるほど間近で眺めて帰ってきたひとだ。すごい。もっと若い頃に読んでいたら、渦巻く波の底に引きずり込まれて帰ってこられなかったかも。ふだん自分たちが仕事で扱っているアレは単なる記号であって、言葉ではないような気がしてくる。