そんなテレパシーは(略)

デボラ・ブラム『幽霊を捕まえようとした科学者たち』(文芸春秋)をちまちまと読んでいる。

今朝は、いわゆる「虫の知らせ」現象(そばにいないはずのひとの姿をありありと見たその時刻に、そのひとは事故や病で亡くなっている。というような話)を研究対象とするために、集めた体験談からパターン抽出/統計化しようと苦労を重ねているあたりを過ぎた。

《ハーパーズ・マガジン》一八九一年十二月号で、マーク・トウェインは超自然の科学への個人的支持を表明した。冒頭で彼はまず、心霊研究協会(SPR)は不可能だと言われていたことを成し遂げ、オカルト研究を立派な活動にしてくれたと、高らかに述べている。

 そればかりかSPRの先駆者たちは、自分のような人間を自由にし、テレパシー(彼の気に入りの呼び方をすれば心の電信)のようなテーマについて率直にものを言えるようにしてくれた、と彼は言う。 (P.236より)

マーク・トウェインがこちら方面に造詣が深かったのは有名だ。ダン・シモンズによるハワイを舞台にした冒険ホラー『エデンの炎』(角川文庫)に彼が登場しているのも、こういう背景を買われてのことだろう。

「人の噂をしていると、当人が現れることがよくある。そんなときわれわれは、"噂をすれば影"などと言って笑い、"偶然"として片付けてしまう。これはわけのわからない重大な謎を処理する安易な方法だ。実際には、そういうことは偶然とは言えないほど頻繁に起きている」

 ほとんどの人間は他人の考えをなにげなく、それと意識せずにテレパシーで読み取っていることがあるのではないか、とトウェインは言う。彼らは自分の能力を過小評価しているか、信じていないだけだ。

「わたしがこれを書いているあいだにも、地球の裏側で誰かが同じことを書いているだろう。わからないのは、こちらがむこうに書かせているのか、むこうがこちらに書かせているかだ」 (P.237-8より)

読んでいて思い出したが、自分も、簡単に召喚されるタイプである。

むかしの友人たちはみなそれを知っていた。声が届かない遠く(体育館や隣のクラス)から呼ぶために、わざわざこちらのことを話題にして呼びつける、ということをやる者までいた。こちらは完全に自分の意思に従ってそちらに行ったと思っているのだが、彼女は「あー、きたきた、『呼ぶ』とすぐ来るねえ」と笑っていた。一種の体質なんだろう。

さて、先週のいつごろだったか。仕事やプライベートとまったく関係がないはずの「土曜ワイド劇場」という語がふいと思い浮かんだ。それから数時間、なぜだかわからないが、とにかく気になって、頭のなかでオープニングを思い浮かべてみたり、よく主演していた天地茂や愛川欽也(古…)のことを考えてたりしていた。

週末、相方のところに行き、うちから持っていった『皇国の守護者』を出すと、彼はこういう本を出してきた。

新装版 土曜ワイド殺人事件 (ドラゴンコミックス)

新装版 土曜ワイド殺人事件 (ドラゴンコミックス)

表紙を見て納得。

なるほど、この本を貸そうと考えた彼の思考を受け取ったということか…orz