ダンディーと呼ばれた男。

玄関周りを掃いたり拭いたりしていると郵便局のバイクがやってきた。民営になっても特に何も変わりはない(ように思える。いまのところは)このあたりと違って、郵便局がなくなっちゃったところは大変だなあと思いながら、茶髪のお兄さんから封筒を受け取った。アールグレイを淹れて、家族の土産のコロンバンモンブランを皿に乗せてから、順に封を切った。

すこし判型が大きい茶封筒は同窓会通信だった。丁寧に誌面を追ううちに、恩師の訃報を見つけた。そうか。もうそんなお年だったのか。

生物の先生だった。スーツに色つきクレリックシャツを合わせて、若白髪なんだかロマンスグレーなんだかの髪をかきあげながら、ピンク一色のパンジーを造ろうとして果たせなかった若き日を語ってくれたものだ。

ダンディーK村先生、河を渡ったところではどんな花も見つかると思いますよ。名うてのキザだった貴方は、自分の手で作り出すことに意義があるんだよ、と笑うでしょうけれど。