千載一遇。

うちの庭のユリの葉を食べていたルリタテハの子供の行方がわからなくなって一週間。たぶん見失ったその日に蛹になっていたのだろうが、その場所がどうしても見つけられなかった。それでも諦めきれずに、時間があるときには葉の影を覗いたりしていた。

今朝も、植物に水遣りをしながら、ユリのほうを見るともなしに見ていた。と、ユリの背後、隣家との境の草むらで黒いものがはばたいたのが見えた。蛾だろうか。じょうろを下ろしてそばによっていくと、草の中でぱたぱたしているものがいた。あっと思った。ルリタテハだった。羽化してすこし時間が経って動けるようになったものの、まだうまく飛べずに草の間を歩いているようだ。翅にゆがみや縮んだところがないか急いで観察して、異状がないと知って安心した。

立って見守るうちに、蝶は蒼い艶のある翅をはばたいて、今度こそ空に飛び立っていった。旅立つところを見せてくれてありがとう。