藻岩山にて。

北海道出身の友人の弟君が遭遇した、とてもストレートな体験談をひとつ。

十年前のある日。

二十代後半だった彼は、車を運転していて眠気をおぼえた。そこで札幌市内から藻岩山に行き、車を道から外れたところに停めて、仮眠を取ったのだそうだ。

何時間たったか、ふと眩しさに目を覚ました。あたりはもう暗いのに、フロントガラスには上空からまばゆい光がふりそそいでいた。とっさに見上げると、そこに浮いていたのはまぎれもなく、UFOだったそうだ。すぐそこにあるそれは目を開けていられないほどの光を放ち、下部の機器がぐるぐる回っているのも確認できたという。

あまりのことにあっけにとられていると、暗い周囲からのろのろと、自衛隊のトラックが包囲するように近付いてくるのが見えた。怖くなって…

彼の記憶に残っているのはそこまで。気付いたら札幌市内を車で走っていたそうだ。どうやってそこまで来たか、まったく記憶はなかった。

この話を弟君から聞かされた友人は、あちらの専門家として有名な矢追某氏が「UFOにかどわかされたひとには記憶が残らず、かわりに左耳の前に孔が残る」と云っていたのを思い出し、急いで弟君の耳のまわりを確認したという。

聞いた通りの場所に、孔が開いていたそうだ。