羊と流れ作業。

健診に行くため、子供と同じ時間に家を出た。乗った電車は順調に遅れている。以前はこういうのはほとんどなかったけれど、最近は飛び込みだの緊急停車ボタンが押されただので、みんな慣れっこなのか、アナウンスが入ってもみな顔を上げもしない。足踏みしたって動くものではないし、とでもいいたげな諦めが漂っている。囲いに押し込まれた羊みたいだ。

腹が鳴る。前夜九時から食べてはならず、深夜十二時からは水を飲むのもまかりならんというこの縛りはきつい。弁当をつくっている間もひょいと、余ったおかずのきれはしを口に放り込まないように自制するのが大変だった。

早めに出たかいあって、受付にはまにあった。先に来ていたひとたちが番号で呼ばれては隣室に消えていく。自分もそろそろ流れ作業の波に乗る時間だ。肌には傷をつけない解体機械の世話になってくる。