昭和天皇のお食事

昭和天皇のお食事 (文春文庫)

前半は昭和天皇の食材のお好み、召し上がり方、また宮中の会食メニューの紹介などがメインで、料理する側の緊張と苦労を匂わせはするものの、わりあいに上品な感じで話が進む。が、後半、筆者が大膳の仕事につくまでの修行の日々になると、がらりとかわってガチンコ勝負の体育会系苦闘の描写が続く。

アメリカの料理業界の裏を描き出した『キッチン・コンフィデンシャル』では、大量の料理を同時進行で作っていかなければならない厨房を海賊船に例えていたのを思い出した。

どんな要求にも折れない心ととびきりの腕前がものをいうわが国最高の厨房の戦い、一読に値する。

キッチン・コンフィデンシャル (新潮文庫)