イースタン・プロミス Eastern Promise

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今年は、接する機会が少ないロシアやロシア語絡みの映画や本を積極的に観たり読んだりしようと考えている。その第一弾として借りてきた。

ロンドンの闇社会に蠢くロシアン・マフィア。人身売買(これを「イースタン・プロミス」と呼ぶらしい)を行うかれらとかかわりをもってしまった女性の話。

主演はナオミ・ワッツ(英)、ヴィゴ・モーテンセン(米)にヴァンサン・カッセル(仏)ら。監督はデヴィッド・クローネンバーグ(加)。イギリス・カナダ・アメリカ合作と、いったいどこらへんがロシアなのかと思いつつ観始めたが、はっと気付けば薄暗い画面に吸い込まれて、マフィアの運転手ニコライを演じるヴィゴ氏にうっとりモードに(汗

上掲のポスターにもなっているように、物語のなかでは刺青が大きな意味を持つ。*1海外のサイトを拾い読みしたところ、例えば、ヴィゴ氏の背に大きく描かれた「三つのドームを持つ寺院」は、三つの判決を受けたことを意味するらしい。全身ショット撮影時(ということはつまりあのサウナシーンのためだろう)には、ぜんぶで43の意匠が数時間かけて彼の身体に描かれたという。この映画の刺青は、アメリカのAlix Lambertによる刑務所刺青ドキュメンタリー「The Mark of Cain」というフィルムなどに基づいている。Youtubeに上がっている断片も観てみたが、ロシア語のヒアリングをちゃんと勉強してから出直したほうがよさそうだった。

刺青の意匠は各国で大きく異なり、こめられた意味も異なる。その秘密を知るものには雄弁に語りかけてくる符丁、警告でもあるのだ。ロシアの刑務所/マフィアの刺青については資料を読んだことがないので、よい機会だと思って本を取り寄せてしまった。こういう本はさすがに図書館ではみつからない。

クローネンバーグ監督にしてはめずらしく、この映画については続編の撮影を考えているそうだ。今度は映画館に行くことになるだろう。

*1:画像のなかのсеверはスィーヴィエル、字義通りには「北」、シベリアを指す。