ナマゴロシの午後。

新本格ミステリを読む楽しみは、華麗なる推理合戦の花火を見物したあとにラストまでの階段をいきおいよく転がり落ちるときのスピードにあると思っている。で、仕上げにアタマをしたたかに打って、夢幻の彼方へさあ行くぞ!…ってバズ・ライトイヤーかい。つまり自分にとっての読書は、カイヨワの遊びの4分類のうち、眩暈ことイリンクスに相当するようだ。現実をゆさぶるセンス・オブ・ワンダーカタルシスを求めているらしい。それなのに。昼休みの終了とともに、ラスト70ページを残して本を閉じたこの苦しみ、いかにすれば……。うううー。