素人シャンソンを聴きながら。

シャンソンとはつまるところ、フランスの演歌である。ホレタハレタ別れる別れない系が非常に多い。上手なひとが歌えばもちろん、それなりのひとや、はっきりとアレなひとが歌った場合でも気持ちが動かされることがあるのは、歌が設定する状況と共鳴する記憶や情動を自分の中に抱えているからだ。

次々と舞台に現れるご婦人たちの歌を聴きながら、『恋空』の読まれかたもそんな感じなのだろうかと思った。文体などスタイルはどうでも、内容に共鳴できればそれは良いものだと感じる読者層は確実にいる。さっき自分が手にとった本は第23刷だった。マーケティングとしては大成功の部類だ。評価が分かれるケータイ小説だが、ロマンス小説やBLのように排他的一定層のニーズを満たす大衆小説分野として定着してきているのか。